バッテリー切れで動かないバイクを「ブースターケーブル(ジャンプケーブル)」で車とつないでエンジンを掛けてみる。
バッテリーが上がってしまったバイクを、車(のバッテリー)とジャンプして救助する方法をご紹介します。
目次
バイクのバッテリー。完全に切れると不動となる。
バイクの場合、バッテリーが弱ってセルが回らなくなっても、電装系の電力は残っている場合があります。その際は、押しがけや、スクーターでもキックスタートなどでエンジンを始動させる事ができる場合もあります。
ですが、テールランプがまともに点灯しないほどバッテリーが弱ったり、FI、コンピューターに必要な電力がなかったりするほど、ほぼ完全に放電してしまっている(バッテリーが上がる、電圧低下する)と燃料供給やガソリンの点火(+制御装置など)に必要な電気を得ることができず、不動となります。
そうなるとバッテリーを交換するか、充電を試すが・・・もしくは今回ご紹介する他の車両から電気をもらってのスタートを試すか。という選択肢となります。
必要なもの。「基本的な工具」と「ブースターケーブル」
必要なものをご紹介します。
必要なもの・使用するものは
- 工具(バイクのバッテリーへアクセスするため。)
- ブースターケーブル
- 正常な車(救助元・救援車・ジャンプ元)
以上です。
使用するモノの用途と選び方。
それぞれについて軽くご紹介します。
まず「工具」いついてですが、これはバイク(バッテリーあがりしているオートバイ)のバッテリーまでアクセスするために使用します。
バイクの場合、4輪車のようにボンネットを開ければバッテリーを目視できるわけではないです。大抵はシートの下やカウルの下に配置されています。
なのでシートやカウル、カバー、固定具などを取り外すために工具が必要です。それで、実際に必要になる工具の種類としては「プラスドライバー」だけで足りることがほとんどかと思います。今回作業するホンダのスクーター(ズーマー)もプラスドライバーだけで作業することが可能でした。
※私のズーマーの場合、一部ネジをカスタム(鉄ネジ→六角穴付きステンへ)しているためもう少し多くの工具を使用しましたが・・・。
次にブースターケーブルについてです。
援助させる側、故障車に合わせたケーブルが必要です。がオートバイの場合、特になんでもOKです。なぜならオートバイのスターターモーター(セル)やシステムに必要な電力は車と比較すれば少ないからです。そのため自動車用のブースターケーブルから選ぶ場合は軽自動車用でも十分です。※最大値が50A(アンペア・電流)程度のもので十分。今回は100Aものもを使用。
むしろ無駄にトラック向けのケーブルなどを購入するとケーブルが極太で固く、重すぎてバイクの振動で外れてしまったり、バイクの小さなバッテリー端子に繋がりにくかったり(クリップがはさみづらかったり)するので、今回(上写真)ご紹介しているような軽自動車~普通車向け程度のものでOKです。※オートバイ用でももちろんOK。コスパや非常用として車に積んでおくことなどを考慮しなければ、むしろオートバイ専用のほうがおすすめです。
あとは、作業する環境で長さを気にして選んでいただければと思います。
最後に正常な車(ジャンプ元)についてです。車の種類はなんでも良いのですが、エンジンがかかる車(ハイブリッド車の場合、システムが起動する車。)である必要があります。
もちろん車ではなく自動車のバッテリー単品とジャンプするというのもありですし、その場合は考慮する必要の無いことですが、一般的に自動車に搭載した状態のバッテリーとジャンプする場合は、その自動車側のバッテリーまで上がってしまうと厄介ですので、救助車両側はエンジンを掛けた状態(システム起動状態)で作業する必要があります。
なので当然過ぎますが、正常な車が必要となります。ちなみにバイク同士でも可能ですし、やり方も同じです。
方法・手順
それでは実際に自動車からオートバイにジャンプしてバイクのエンジンを掛けていく作業を行っていきます。
①バイクのバッテリーを目視する。
まずはバイクのバッテリーを見つけて、端子へアクセスできる状態にします。
こちらがバイクのバッテリーです。「プラス」と「マイナス」が解りやすくなっていますね。
※プラス側はカバーがあります。このカバーは外す必要がありますが、作業が完了したら必ず戻してください。
②車側のバッテリーを目視する。位置を把握する。
車(救援車・ジャンプ元)のバッテリーもアクセスできるようにします。そして、バッテリー同士がケーブルで繋げる事ができる位置にあるか確認しましょう。
万が一ショートなどのトラブル(人為的ミスなど)が発生した場合、ケーブルの端子を引っ張ってはずせるように、全体をまとめて把握できる位置関係にすると良いでしょう。
③ケーブルを接続していく。※接続順序あり。
ブースターケーブルを接続します。この際、ケーブルの接続には順番があるので注意してください。
まずはブースターケーブルの赤い方の線を使用して「プラス」を接続していきます。
赤い線の接続順ははじめに「故障車(バッテリーあがり)のプラスのバッテリー端子」から接続し、次にのこりの片側を「救援車のバッテリーのプラス端子」に接続します。
※車のバッテリー端子は本物のバッテリー端子ではなく、赤い蓋などを開けたところにある「金属板」のようなターミナルの場合もあります。特にそこで問題はありません。(最近はそのケースが多いと思います。)
次、黒いケーブルを使用します。
はじめに黒いケーブルを救援車(ジャンプ元)の車のバッテリーのマイナスへつなぎます。※シルバー色の金属部分。
その後にバイク(故障車)のマイナスへつなぎます。繋ぐ場所はバッテリーのマイナス端子でもOKですが、適当なフレーム部分や、エンジンの金属部分などでもOKです。今回はフレーム部分に適当に噛ませました。
※車、バイクはボディーやエンジン、フレームなどは基本的にバッテリーのマイナス端子とつながっているので、バッテリーのマイナス端子と同じです。ただし、塗装されている場合やメッキ処理させている場所などは電気を通さない場合があるので金属が直に出ているところに限ります。
これで接続完了。
④ジャンプ元・救援車のエンジンをかける。そのまま数分以上放置。
救援車のエンジンをかけます。ハイブリッド車の場合はシステムを起動。「READY」表示な状態にしてください。
※シフトは「P」パーキングにしてください。MT車の場合はギアポジションはニュートラルでサイドブレーキを引いた状態で行ってください。
この状態で数分放置し、バイクのバッテリーへ少し充電します。※10分程度かそれ以上が望ましいが省くことも可能。
⑤バイクを始動させる。
キックスターターやセルスターターでエンジンをかけます。
なかなかエンジンが掛からない場合は、何度もセルを回してしまうと思いますが、セル・スターターは大きな電力を使用するためやりすぎると救援車のバッテリーへの負荷やケーブル(やクリップ)の発熱が心配になります。なので休み休みセルを回しましょう。
バイクを始動できアイドリングしているのであれば、車のエンジンは切っても大丈夫です。
⑥ケーブルを取り外す。※順番あり。
ケーブルを取り外していきます。外すのには順番があり、取り付けた際の逆となります。
「バイク側マイナスを外す。→車側マイナスを外す。→車側プラスを外す。→バイク側プラスを外す。」以上です。
※バイクのエンジンは掛けたままでもOKです。慎重に注意して作業しましょう。
⑦20分以上程度ドライブ(ツーリング)してバイクのバッテリーを充電する。または④の状態で充電する。もしくはそのままバイク屋・修理店へ行き、バッテリーを交換してもらう。
バイクのエンジンは掛かった状態だと思いますが、今エンジンを切ると再始動できないかもしれません。なので走らせてバッテリーへ充電します。
※走らせなくてもアイドリングで充電されますが、エンジンの回転数が低い状態よりも高い状態のほうが充電が早く済みやすい。また、アイドリング音は場所にもよりますが住宅街では近所迷惑になります。そのため、慎重にバイクを運転し、開けた場所、人の少ない場所、うるさい場所へ移動させ、そこでアイドリングさせるのも良いでしょう。ただしエンスト注意。
走らせたりアイドリングではなく、④の状態で電気を分けて貰う形で、ある程度バッテリーの充電を試みるものありです。その場合は車をアイドリングさせておくことになります。バイクの排気音がうるさい場合などに活用できると思います。
それから、その足でオートバイを取り扱っているお店へ行き、バッテリーを購入し交換するのもおすすめです。
一度バッテリーあがりを起こしたバッテリーは充電されにくく、充電できてもすぐに上がってしまうことがあります。なのでいずれにしてもバッテリーの交換は検討する必要があると個人てきには考えています。
【余談】個人的に起きた問題点と解決策
今回の作業で起こった問題をご紹介します。すべての場合で起こるわけではなく、むしろマイナーな問題だと思うので余談として、予備知識的に参考いただければと思います。
それで発生した問題ですが、ブースターケーブルのクリップが大きく、形も合わなかったので、バイクのバッテリー端子(プラス)にかませることができませんでした。
だからといってネジを外して、バッテリー端子に直接・・・とするとバイク(バッテリー)の充電はできるけれどバイクの電装には電気が回らないのでエンジンを掛けられない・・・少々面倒です。
そのようなときに私がとった回避策ですが、
このようにボルトを長いものに変更しボルトをクリップで掴めるようにしました。
これで問題もなくプラスを接続できました。ただ、作業が完了したら戻さなければいけないので少々面倒でしたがね。それにしても見るからにバッテリーが小さいし、加えてクリップも大きい。無理ではありませんが、すんなりはいかなかったです。
・・・という感じでバッテリーが小さいオートバイならではの問題と解決策についてでした。
なのでバイクのジャンプアップを前提・主目的にしているのであれば以下の製品のようなバイク用(バイク向け)のクリップ部が小ぶりなものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
ブースターケーブルを使用して、バッテリーが上がってしまったバイクを車とジャンプして助けてみる方法についてご紹介しました。
記事の最後の方にもお話しましたが、一度バッテリーあがりを起こしたバッテリーは、再度バッテリーあがりを起こしやすいです。また、上がってしまったバッテリーはほとんど充電できないような状態になている場合もあり、いずれにしても早期のバッテリー交換をおすすめします。
ですが、それこそバイク屋・修理屋へ向かうためにジャンプアップを利用するのは良いので、「バイク屋さんまで押して歩くのは無理がある」そんな場合の参考になればと思います。